保育士さんの転職が多いことはよく知られていますが、その理由の中で圧倒的に多いのが「給料が安い」というものです。
今回はその実態に迫ろうと思います。

保育士給料の実態は「薄給」

1)保育士の年収は、323.3万円(平均年齢35.0歳)
厚生労働省の「平成27年賃金構造基本統計調査」によれば、公立も私立も含めた保育士の給料は全国平均で年収323.3万円(平均年齢35.0歳、勤務7.6年)です。
これに対して、全産業平均では489.2万円(同42.3歳、勤務12.1年)で、年齢や勤務年数にかなりの差異がありますが、保育士の給料は明らかに「安い」といえましょう。
 もうひとつ同じく厚生労働省の平成25年調査によるものですが、それによる月額ベースの金額ですと、公立も私立も含めた保育士の賃金は月額20.7万円です。
これは全産業の月額平均29.5万円を大きく下回りますし、同じ教育分野の小学校教員の33.1万円との比較では、ますます差が拡大しています。
ここからも、保育士の給料が明らかに「かなり安い」現実が見えてきます。

2)官民格差が大きい: 公務員の保育士は「安くない」
ところで、保育士の中でも公務員の保育士に限ってその年収を調べてみますと、公表されている練馬区のデータでは、年収539.1万円(平均年齢44歳)とあります。
上の全保育士の323.3万円と比較して、驚くほどの差があることが分かります。
つまり、公務員保育士の場合には“安くない”のです。
理由は、平均的な公務員と同程度の収入が確約されているからです。

3)公務員以外の保育士の給与について

(1) 大きな地域間格差。
あくまで公立も私立も含めたデータですが、一番高額なのは京都府で年収385.4万円、これに対し、最も低い福島県では217.9万円となっています。
約2倍の差、大きな差があることがわかります。

(2) 地域間格差は、都会と田舎の差ではありません。
都道府県別での上位10県は、①京都 ②群馬 ③愛知 ④石川 ⑤大阪 ⑥兵庫 ⑦富山 ⑧愛媛 ⑨福井 ⑩香川の順になっています。
特に驚くのは、首都圏の1都3県が全く含まれていないことです。
逆に低いところを下位から並べると、①福島 ②福岡 ③三重 ④鳥取 ⑤広島となっています。
要は、保育士給料の地域間格差は、よくある東京対地方、あるいは大都会対田舎の差ではないのです。
保育士確保への取り組み度合いこそが、この差を生んでいると想定されます。

(3) 「昇給額の少なさ」が、年収差の主原因。
私立の保育所の求人案内を実際に調べてみますと、正社員の初任給では、多くの場合
20万円前後になっています。
この額は、ほとんどの業種で、大卒新入社員の初任給として最も多く提示されている額と同額にあたります。
つまり、働き初めの段階での年収では、私立の保育所の保育士の場合でも、他業種と比較して大差はなく、同レベルなのです。
ここから分かってくるのは、その後の「昇給額の少なさ」が、年収差を大きくしているということです。